
お盆の時期に、おじいちゃん、おばあちゃんの
家に行くと、なすときゅうりに足をつけた
人形を見たことがありませんか?
小さい頃、見るたびに気になっていました。
あの人形?は何なんだろうな・・・って。
結論を言っちゃいます。
あの人形は精霊馬といいます。
今回は、そんな気になる「精霊馬」について
ご紹介していきます!
お盆のなすときゅうりの人形 = 精霊馬とは?
お盆に作る、なすときゅうりの人形は、
精霊馬(しょうりょううま)と呼ばれています。
はい、あの人形は、馬なんです!
馬といえば・・・誰かを乗せて移動する
「乗り物」としての役割があります。
精霊馬も同じように、移動手段として
使われます・・・が、ちょっと特殊。
というのも、精霊馬が乗せるのは、
亡くなった方の霊魂なんです。
しかも、移動するのが、
「この世」と「あの世」なんです。
お盆は、ご先祖様の霊魂を「この世」に
お迎えし、供養したのち、「あの世」に
お戻りいただくという、重要な行事です。
「この世」と「あの世」を結ぶ
重要な交通手段として、
精霊馬はお供えされるんです。
「なす」と「きゅうり」の違いは?
きゅうり = 馬
なす = 牛
です!
なすの人形は牛なので、「精霊牛(しょうりょううし)」
と呼ばれることもあります。
たしかに、きゅうりは細くて軽いので、
移動が早そう。どちらかと言えば
「馬」ですね。
一方、なすは、どっしりとしていて、
安定感がありそう。「牛」って感じがします。
では、なぜ、馬と牛で分けているのか・・・
そこには、昔の人々の願いが込められています。
ご先祖様の霊魂をお迎えする「迎え盆」には
足の速い「馬」(きゅうり)をつくって、
はやくこの世に来てもらえるようにします。
一方、ご先祖様の霊魂をあの世にお送りする
「送り盆」には、「牛」(なす)をつくって、
供物を乗せながら、ゆっくり帰ってもらえるようにします。
一般的には、上記のような理由ですが、
地域によっては、まったく逆のケースもあります。
具体的には・・・
迎え盆には、ご先祖様の霊魂を
丁寧に迎えるために「牛」をつくり、
送り盆には、ご先祖様に早く「あの世」へ
帰ってもらえるよう、「馬」をつくる
といったようにです。
理由は違えど、「馬」と「牛」には、
ご先祖様を敬う気持ちがあふれており、
いかに、お盆が重要な行事かを物語っています。
精霊馬を飾る時期は?
では、精霊馬を飾る時期は、いつ頃なのでしょうか。
これは、地域によって違いがあるそうです。
関東地方などでは、8月13日の迎え盆に、
精霊馬をつくって、精霊棚に飾ります。
なお、精霊棚(しょうりょうだな)とは、
精霊馬などのお供えをする棚です。
そして、送り盆の8月16日まで、
精霊馬を飾り続けるのです。
一方、北海道から中部までの地域などでは、
16日の送り盆に精霊馬をつくるそうです。
飾り終えた精霊馬はどうする?
役目を終えた精霊馬は、どのように
処分したらよいのでしょうか。
この世とあの世を往来するための
「足」となって活躍してくださったのですから、
丁重に扱わなければ・・・と思ってしまいます。
かつては、お供物と一緒に、川や海に
流したり、土の中に埋めたりしていたそうです。
現代だと、川や海に流すのは、ちょっと
ためらわれますよね・・・
そもそも、近くに川や海がなければ、
流すこともできませんし。
いちばんやりやすい処分方法ですが、
白い紙や半紙などに精霊馬を包んで、
清めの塩をかけて処分するといいそうです。
もしくは、お寺などで焚き上げを
おこなってもらう方法もあります。
なお、精霊馬を「食べる」のは
やめたほうがいいです。
神聖なものだから、という理由もありますが、
夏場ですので、傷んでいる可能性もあります。
余談ですが・・・最近の精霊馬はスゴい!
精霊馬で、インターネットの画像検索をすると
スゴイ作品がたくさん見つかります。
もはや「馬」ではありません。
ジェット機や戦車、ロボットまであります(笑
現代科学の進歩とともに、
精霊馬も進歩してるんだなぁ
なんて思っちゃいました。
正直なところ、これを「精霊馬」として
扱っていいのだろうか・・・と、
個人的には思いましたが・・・
一方で、
「ご先祖様のために、お供えをする」
という、故人を敬う気持ちは、
今も昔も変わってないのだなぁ・・・
とも思い、あらためて、日本の文化は素晴らしいなぁ・・・
と、しみじみ感じ入ってしまいました。
まとめ
今回は、お盆のときに飾る
「精霊馬」についてご紹介しました。
精霊馬とは・・・
- お盆の時期に、なすときゅうりで作る人形
- ご先祖様の霊魂が、この世とあの世を移動するための手段
- お盆の時期(13~16日)に飾るが、地域によって異なる
- 処分するときは、適切に
お盆は、ご先祖様と向き合う、大切な時期です。
1年に1度、精霊馬をお供えして、故人を
思いやりながら、特別なときを過ごしましょう。