
夏に咳が止まらない・・・そんなときは、まず、夏風邪を疑いましょう。夏風邪には、喉にダメージを与えるタイプのものがあります。落ち着いて対応すれば、短期間で回復するでしょう。
もし、1週間以上、咳が続いている場合は、他の病気に罹っているかもしれません。これらの病気は、初期症状が夏風邪と似ており、区別がつきにくいのです。
今回は、夏風邪で咳が出るときの原因と対策、そして、夏風邪とよく似た症状で、咳をともなう病気について、ご紹介します。
もくじ
夏風邪の原因と症状
夏風邪は、アデノウイルス、エンテロウイルスなどのウイルスに感染することで発症します。これらのウイルスは、高温多湿な環境を好むため、夏に猛威をふるいます。
夏風邪の代表的な症状は、以下のとおりです。抵抗力の低い子どもがかかりやすいですが、大人でも感染しますので、注意が必要です。いずれも、基本的には3,4日で治ることが多いです。
プール熱
プールで感染することが多いので、プール熱と呼ばれています。正式名称は、咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)です。アデノウイルスが原因で引き起こされます。
38度を超える高熱や、喉の痛み、目の充血といった症状が出ます。
ヘルパンギーナ
エンテロウイルスの一種の、コクサッキーウイルスによって、おもに引き起こされる感染症です。
38度を超える高熱が出て、口の中や喉の奥に水疱ができ、痛みを伴います。
手足口病
こちらも、おもにコクサッキーウイルスが原因で起こる感染症です。
熱はそんなに出ませんが、その名の通り、手のひら、足の裏、口の中などに発疹が出て、痛みを伴います。
夏風邪の治し方
※詳しくは、各症状のリンク先をご参照ください。
ここまでご紹介した夏風邪については、残念ながら、病原となるウイルスに直接効果のある薬は存在しません。
したがって、基本的には、自然治癒力による回復を待つことになります。
とはいえ、何もできないわけではありません。
- じゅうぶんな睡眠
- 栄養のある食事
- 水分補給
これらをしっかり実践し、安静にしていることで、自然治癒力を高めることはできます。
咳が止まらない場合は、こんな病気かも?
代表的な夏風邪の症状を紹介しましたが、これらはいずれも、数日で症状が治まるといわれている感染症です。
もし、1週間以上経過しても、咳が止まらない場合は、単なる夏風邪ではないかもしれません。すみやかに医師の診察を受けましょう。
以下より、咳が続く場合に、感染が疑われる病気をご紹介します。
マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマという細菌に感染することによって起こる感染症です。感染者のほとんどが子どもですが、大人も感染することがあります。
かつては、4年周期で流行することから、「オリンピック病」と呼ばれていましたが、近年は、周期に関係なく流行するようになりました。
流行シーズンは、秋から冬にかけてですが、近年では夏の感染者も増えています。
感染すると、以下のような症状があらわれます。
- 発熱
- 喉の痛み
- 咳
- 頭痛
- 倦怠感
とくに、コンコンとした、乾いた咳が夜間に出ることが特徴です。発熱などが治まったあとでも、人によっては1ヶ月ほど、咳が出続けることがあります。
夏型過敏性肺炎
夏型過敏性肺炎は、家の中に潜んでいる「トリコスポロン」と呼ばれるカビの胞子を吸い込んでしまうことにより起こる、アレルギー性の過敏性肺炎のひとつです。
ピーク時期は、6月から10月頃までで、夏に多く発症します。
症状や対策については、以下にまとめています。
咳喘息
咳が続く場合は、咳喘息(せきぜんそく)も疑いましょう。咳喘息は、気道(肺に至るまでの空気の通り道)が炎症などにより狭くなり、気管支が敏感になることで起こります。
気管支が敏感になると、ハウスダストや花粉、気温の変化などの刺激によって、炎症が悪化したり、咳が出やすくなります。
症状としては、夜間や早朝を中心に、乾いた咳が出ます。期間は、2,3週間程度と言われていますが、ひどい場合だと、数ヶ月、数年といったケースもあります。
咳喘息は、気管支喘息の一歩手前の状態といわれており、実際に、約3割の咳喘息患者が、そのまま気管支喘息に移行していると言われています。
早めに病院に行って医師の診察を受けましょう。普通の咳止めは、まず効きません。
病院に行くと、ステロイド吸入剤や咳止め薬などが処方されます。指示通りに処方して、回復につとめましょう。
また、ホコリや花粉などが多い場所に行く場合は、マスクを着用して、喉に刺激物が入り込まないようにすることが大切です。のど飴やお茶などを飲んで、喉を乾燥させないことも重要です。
余談ですが・・・
私は、昨年の秋に咳喘息を経験しました。私の場合は1ヶ月くらい咳が続きました。
特にしんどかったのが、夜中~明け方に頻発する咳です。慢性的な睡眠不足状態になり、常に不調な状態で毎日を過ごしました。
病院には、早いタイミングで行きましたが、はじめは咳止めのみの処方で、指示通りに服薬するも、咳は止まらず。
その後の通院でステロイド吸入剤を処方され、使ったてみたところ、かなり楽になり、回復につながりました。
細菌性肺炎
細菌性肺炎は、風邪や免疫の低下などをきっかけに、細菌が気道から肺に達し、肺炎を起こしてしまう症状です。まれに、血液の循環によって、細菌が肺胞に達して起こることもあります。
肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、クレブシエラ菌などが原因菌です。
おもに、以下の症状があらわれます。
- 咳
- 胸の痛み
- 呼吸障害
- 高熱
- 黄色っぽい痰が出る
- 倦怠感
咳が止まらない場合は、すぐに病院に行きましょう。抗菌薬などが処方されますので、医師の指示のもとに、正しく薬を飲んで改善につとめましょう。
症状が軽い場合は、安静にして薬を服用していれば1週間程度で回復します。
症状が重い場合は、2,3週間、長い場合は数ヶ月の入院をし、抗生剤や点滴による治療をおこないます。
まとめ
今回は、夏風邪で咳が治らない場合に、考えられる病気について、ご紹介しました。
咳が長引く場合は、夏風邪とは異なる病気の可能性があります。咳喘息などは、治療が遅れると、さらに悪化してしまうおそれがあります。
咳が止まらないな・・・と思ったら、なるべく早く医師の診察を受け、早めに対応しましょう。
夏風邪については、こちらの記事でまとめています。 夏風邪の症状まとめ