
夏に咳が止まらない時は、要注意です。いわゆる夏風邪といわれている症状の場合は、3,4日経過すると症状が治まるケースが多いですが、もし1週間以上、咳が止まらない場合は、他の病気を疑うべきです。
今回は、夏風邪と初期症状が似ている、夏型過敏性肺炎について、ご紹介します。
もくじ
夏型過敏性肺炎とは?
夏型過敏性肺炎は、家の中に潜んでいる「トリコスポロン」と呼ばれるカビの胞子を吸い込んでしまうことにより起こる、アレルギー性の過敏性肺炎のひとつです。
感染症ではないため、他人にうつることはありません。ピーク時期は、カビが発生しやすい6月から10月頃までで、夏に多く発症するため、「夏型」過敏性肺炎と呼ばれています。過敏性肺炎の7割が、この夏型過敏性肺炎と言われています。
夏型過敏性肺炎の症状は?
発症した場合、原因となるカビの胞子を吸い込むたびに、以下のような症状があらわれます。
- 発熱
- 咳
- 倦怠感
- 呼吸困難
かかりはじめは、夏風邪の症状とよく似ています。夏風邪と異なるのは、熱などの症状が治まった後でも、咳だけが出続ける点です。
こんなときは、夏型過敏性肺炎かも?
咳をともなう病気は、喘息など、数多く存在しますが、もし以下のような状況でしたら、夏型過敏性肺炎の可能性があります。咳が続くと感じたら、すみやかに医師の診察を受けましょう。
外出すると、症状が治まる
夏型過敏性肺炎は、家の中のカビの胞子を吸い込むことで症状があらわれます。したがって、カビの胞子が存在しない環境に身をおくと、症状が治まります。
たとえば、「外出時には症状が出ないけど、帰宅したら症状が出る」といったことが夏に多い場合は、夏型過敏性肺炎を疑いましょう。
毎年、夏になると咳が出る
「毎年、夏になると、決まって咳が出る」といった場合も、夏型過敏性肺炎の可能性があります。抗生物質などで、一旦は症状が治まったとしても、原因となるカビが除去されずに家に残っている場合は、やはりカビの活動が活発になる夏場になると、再び咳などの症状があらわれるのです。
夏型過敏性肺炎の予防・対策
夏型過敏性肺炎は、薬によって症状を軽減させることはできますが、やはり、原因となるカビをなんとかしないことには、根本的な解決になりません。
一番手っ取り早いのは、転居して、きれいな場所に身をおくことです。しかし、転居となると、色々と大変です。お金などもかかりますので、実行できる方は限られてしまうでしょう。
実行しやすい対策は、やはり、カビの除去と、日々の掃除です。
カビの温床となっているものを取り替える
以下のような箇所は、カビの温床となっているため、カビ取り剤による除去をしても、すぐカビが発生してしまいます。取り替えた方が効果的です。
- 家の木造部分で、腐っている箇所
- 古い畳などで、腐っている可能性があるもの
水回りの湿気を防ぐ
カビは湿気を好みます。以下に挙げている場所は、湿気が高く、カビが好む場所です。
- キッチン
- 洗面所
- 洗濯槽
- 加湿器
- お風呂場の壁
すでにカビが発生している場合は、市販のカビ取り剤を使い、カビを除去しましょう。
カビを取り除いた後は、日々のメンテナンスをしっかりとすることが大切です。使用した後や、掃除の際は、乾いたタオルなどで乾拭きをし、湿気を取り除いておきましょう。
普段から湿気を防ぐ工夫をして、カビを予防することが大切です。
湿気が溜まりやすい場所・物へのケア
水回りでなくても、たとえば押入れのような、普段扉を閉めきっているような場所は、湿気を帯びやすく、カビの繁殖場所となります。
また、布団などは、汗などの水分を吸いやすく、湿気がたまりやすいので注意が必要です。
押入れ対策
すでにカビが発生している場合は、消毒用のエタノールを吹きかけ、乾いた布などで乾拭きします。水拭きは、湿気がたまるのでダメです。
カビを除去したあとは、日常の掃除をこまめに実施しましょう。とくに、カビの餌となるホコリが残らないよう、丁寧に掃除しましょう。そして、掃除後は、一定時間、押入れの扉を開けて、空気を乾燥させましょう。
また、押入れの床と布団が密着していると、通気性が悪くなり、カビの温床となる恐れがあります。すのこなどを入れて、隙間を作ってあげると、よい対策になります。
布団対策
カビが発生している布団は、新しい物に取り替えるか、クリーニングに出すのが手っ取り早いです。
また、普段から定期的に布団を干して、湿気を逃がしておくことが大切です。いわゆる「万年床」は、湿気がたまり、カビの温床になるので、絶対にやめましょう。
夏はエアコンに注意!
夏の場合はエアコンにも注意です。しばらく掃除していなかった場合は、カビが発生している可能性もあります。
エアコンをつけたとたん、咳が出るような場合は、専門の業者に掃除を依頼したほうがいいです。
カビを除去したあとは、以下のようなメンテナンスを日々実施することで、カビを防げます。
- 1,2週間に1度くらいのペースで、定期的に掃除をする
- 送風運転を定期的に実施して、エアコン内部を乾燥させる
- 時々、窓をあけて部屋の換気をする
まとめ
今回は、夏に流行しやすい夏型過敏性肺炎についてご紹介しました。
症状が夏風邪や喘息と似ているため、区別がつきにくいですが、「夏に」「自宅など特定の場所で」症状が出るという点が、夏型過敏性肺炎の特徴です。
咳が続いたら、なるべく早く病院で見てもらいましょう。
そして、カビを除去すること、カビの発生を防ぐことが、根本的な解決には必要不可欠です。
夏風邪については、こちらの記事でまとめています。 夏風邪の症状まとめ