
「ヘルパンギーナ」って病気をご存知ですか?
ヘルパンギーナは、おもに乳幼児や子どもが感染しやすい病気で、6~8月の夏場に流行する、夏風邪の一種です。
しかし、子どもがかかりやすいとはいえ、大人も油断してはいけません。ヘルパンギーナは、飛沫・接触感染が、主な感染原因なので、大人でも感染の可能性が十分にあります。そのうえ、大人が感染した場合は、症状が重くなると言われています。
今回は、ヘルパンギーナについて、原因と症状、そして治し方などについてご紹介します。
ヘルパンギーナの原因は?
ヘルパンギーナは、夏場に流行するウイルス性の感染症です。原因は、エンテロウイルスの一種のコクサッキーウイルスの場合がほとんどです。コクサッキーウイルスはほかにも、手足口病や心筋炎、髄膜炎の原因となります。夏は特に警戒しなければならないウイルスです。
なお、エンテロウイルスとは、夏風邪の原因として有名なウイルスで、エンテロ(腸)という名のとおり、腹痛や下痢などといった症状を引き起こすウイルスです。
おもなエンテロウイルスは、以下のとおりです。
- コクサッキーウイルス(A群)
- コクサッキーウイルス(B群)
- エコーウイルス
- エンテロウイルス(68~72型)
このうち、ヘルパンギーナの原因は、おもにコクサッキーウイルス(A群)ですが、エコーウイルスなど、その他のウイルスが原因のケースもあります。
症状と期間
突然、38~40度近い高熱が出ることが多く、その後、口の中や、喉の奥に水疱・潰瘍ができ、痛みを伴います。高熱に加えて、口の中や、咽頭(のどちんこ周辺)に水疱ができた場合は、ヘルパンギーナを疑いましょう。
喉が炎症して痛みがともない、飲食が困難になることもあるので、食事や水分補給の際にはケアが必要です。
個人差はありますが、だいたい3,4日程度で治ります。ただし、まれに、髄膜炎や心筋炎などの合併症が起こることがありますので、症状が悪化したり、長引いたりした場合は、病院に行きましょう。
発症したときの治し方
ヘルパンギーナに感染した場合の治し方ですが、残念ながら、直接効果のある薬はありません。したがって、基本的には、いわゆる対処療法で改善を期待するしかありません。
具体的には、十分な睡眠、水分補給、栄養のある食事をとって、自然治癒力を高めていきます。自然治癒力が高まれば、ウイルスへの抵抗力も高まり、快方へと向かいます。逆に言うと、自然治癒力が弱まると、回復が遅れてしまいます。
喉の痛みで、食事や水分補給が困難なときは、できるだけ喉への刺激が少ない飲み物や食べ物をすすめましょう。飲み物でしたら、常温の水やイオン飲料などを、食べ物でしたら、常温のおかゆや雑炊などでしたら、喉への刺激も少なく、飲み込みやすいでしょう。
喉が痛いからといって、飲食を拒否するのは禁物です。栄養不足や脱水症状の原因となり、自然治癒力も低下して回復が遅れてしまいます。
自宅での療養が基本となりますが、症状が悪化したり、2,3日経過しても治まらない場合は、合併症を引き起こしている可能性があります。その場合は、病院へ行き、医師の診察を受けましょう。
また、2,3日で症状が治まったあとでも、2~3週間程度は、便からウイルスが検出されるケースが多いため、注意が必要です。
ヘルパンギーナを予防するには?
ヘルパンギーナは、くしゃみなどの飛沫感染や、接触感染でうつります。そのため、予防には、感染源を体内に取り込まない工夫が必要です。
具体的には、帰宅後の手洗い、うがいの徹底や、人が多い場所に行くときはマスクをつけるなど、ウイルスの侵入を防ぐ対応が有効です。
また、注意しなければいけないのが、子どもがヘルパンギーナに感染したときの、看病の仕方です。先述のとおり、ヘルパンギーナは飛沫・接触により感染しますので、子どもの看病の際に、親へとウイルスがうつってしまうことが多いのです。看病の際には、直接、手で口の中や水疱に触れないこと、マスクを付けることを徹底し、ウイルスの侵入を防ぎましょう。
また、症状が治まった後も、2,3週間は便にウイルスが残ります。そのため、乳幼児が感染した場合は、おむつの取り換えの際に、使い捨ての手袋を使用したり、マスクを使用したりなど、糞口感染を防ぐ工夫が必要です。
大人がヘルパンギーナに感染する原因と対応
大人がヘルパンギーナに感染してしまう場合、身体の免疫力が低下していることが多いです。疲労や体調不良、不規則な生活習慣などで、身体の免疫力が低下すると、侵入したウイルスに抵抗できず、発症してしまいます。
感染してしまったら、先述のとおり、睡眠、栄養ある食事、水分補給を十分に実施して、身体の免疫力を高めていきましょう。特に大人の場合は、疲労で免疫力が低下していることが多いので、身体を休めることが一番大切です。なるべく安静にして、飲食を欠かさずに、ゆったりと過ごしましょう。
大人がヘルパンギーナに感染すると、高熱など、子どもが感染するよりも症状が重くなる傾向があります。ですので、普段から、規則正しい生活、十分な睡眠、栄養のある食事を心がけて、免疫力が低下しないようにすることが大切です。
また、お子さんなど、家族がヘルパンギーナに感染した際に、先述の通り、手袋やマスクの使用など、
ウイルスが侵入しないような看病の工夫をすることが大切です。
まとめ
ヘルパンギーナは、小さい子どもが感染することが多いですが、大人も油断はできません。普段から、免疫力を低下させないよう、睡眠、飲食、規則正しい生活を心がけましょう。また、お子さんが感染した際は、看病の仕方に気をつけましょう。
夏風邪については、こちらの記事でまとめています。 夏風邪の症状まとめ