
クレソンといえば、料理の付け合せなどで、よくお皿に添えられているのを見かけます。
どちらかというと、「脇役」のイメージが強いのではないでしょうか。
ところが、含まれている栄養素や期待できる効能には、目を見張るものがあります。
とくに、花粉症などのアレルギー症状や、咳・ぜんそくを改善する効果に、注目が集まっています。
今回は、そんな「主役」級の活躍が期待できる、クレソンについてご紹介していきます。
もくじ
クレソンってどんな野菜?
クレソンは、ヨーロッパ大陸原産の、アブラナ科の植物です。
現在では、ヨーロッパをはじめ、南北アメリカ、アジア、オセアニアなどに分布しています。
日本では、「オランダカラシ」や「ミズガラシ」、「葶藶(ていれき)」などとも呼ばれています。
ちなみに、日本にクレソンがやってきたのは明治の初めといわれています。わりと最近ですね。
開国とともに来日した外国人たちによって持ち込まれたそうです。
当初は、レストラン等で料理の付け合せとして使われるマイナーな野菜でしたが、栄養価の高さが注目され、次第に生産量が増えていきました。
[char no=”1″ char=”usa”]クレソンは各国で「薬草」として用いられています。たとえば、中国では咳止めや解熱に効果のある漢方薬として使われてきましたし、ブラジルではクレソンの成分を配合した咳どめ薬が販売されているそうです。[/char]クレソンの栄養・成分
クレソンには、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素や、からだにやさしい成分が豊富に含まれています。
ここでは、クレソンに含まれる代表的な栄養・成分についてご紹介していきます。
βカロテン(ビタミンA)
クレソンには、可食部100gあたり2700µgのβカロテンが含まれています。
これは、野菜類のなかでもかなり多いほうで、チンゲンサイやブロッコリーを上回っています。
クレソン 茎葉 生 | 2700 |
チンゲンサイ 葉 ゆで | 1500 |
ブロッコリー 花序 生 | 800 |
文部科学省ホームページ掲載の食品標準成分表より引用
[char no=”1″ char=”usa”]βカロテンは、体内に入ると必要分がビタミンAとなります。皮膚や粘膜の健康を保ち、免疫力を高めてくれます。また、ドライアイ予防など、目の健康にもよいです。[/char]ビタミンC
クレソンに含まれるビタミンCは可食部100gあたり26mgで、野菜類のなかでも多く含まれています。
ビタミンCは、コラーゲンの生成に関与しており、美しい肌をキープするのにおすすめのビタミンです。
葉酸
クレソンには、可食部100gあたり150µgの葉酸が含まれています。これは、野菜類の中でも多く、ほうれん草や春菊を上回っています。
クレソン 茎葉 生 | 150 |
ほうれんそう 葉 通年平均 ゆで | 110 |
しゅんぎく 葉 ゆで | 100 |
文部科学省ホームページ掲載の食品標準成分表より引用
[char no=”1″ char=”usa”]葉酸は、細胞の新生・再生に関与することから、妊娠前後には特に摂取すべき栄養素といわれています。また、赤血球の生成にも関与するため、貧血予防にも効果的です。[/char]食物繊維
クレソンには、可食部100gあたり2.5gの食物繊維が含まれています。このうち、ほとんどが水に溶けにくい不溶性食物繊維となっています。
便のかさを増し、腸の動きを活発にすることで、便通を改善します。
また、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える作用もあり、免疫機能の向上・改善が期待できます。
[char no=”1″ char=”usa”]体内の免疫細胞の半分以上は、腸内に存在するといわれています。腸内環境が整うと、免疫細胞も活動しやすくなるんですね。[/char]イソチオシアン酸アリル
イソチオシアン酸アリルは、ワサビやカラシ、大根などに含まれる辛味成分です。
殺菌・消臭効果があるため、よく料理に添えられています。お寿司のワサビなどはその典型ですね。
また、独特の爽やかな香りは、香料としてさまざまな商品に使われています。
[char no=”1″ char=”usa”]そのほかにも、イソチオシアン酸アリルには食欲増進・消化吸収の促進作用があります。胃もたれなどを予防してくれるので、肉料理の付け合せとしては最適なんです。[/char] [char no=”2″ char=”kuma”]風味や香りを加えるために添えてるんだと思ってたけど、そんな理由もあるんだね。[/char]さらに、注目したいのが、強い抗酸化作用を持っている点です。
細胞を酸化させる原因となる活性酸素を取り除くことで、生活習慣病予防や、後述するアレルギーの抑制など、さまざまな健康効果が期待できます。
クレソンの効能
ここでは、クレソンのおもな効能についてご紹介していきます。各種ビタミンや、イソチオシアン酸アリルなどに由来する、さまざまな健康効果が期待できます。
花粉症などのアレルギー症状に
クレソンに含まれるイソチオシアン酸アリルには、花粉症の原因となるたんぱく質成分を無害化するはたらきがあるといわれています。
また、イソチオシアン酸アリルをはじめ、βカロテンやビタミンCといった抗酸化作用をもつ成分を多く含みます。
過剰に発生した活性酸素を除去することで、免疫細胞の活動をサポートします。
[char no=”1″ char=”usa”]花粉症の原因のひとつに、免疫バランスの乱れがあります。免疫細胞が活性化して免疫力が向上すると、花粉症などといった症状の改善が期待できるようになります。[/char]さらに、皮膚や粘膜のはたらきを正常に保つビタミンAや、腸内環境を整える食物繊維なども多く含みます。これらの成分も、免疫力を高めるのに活躍してくれています。
咳やぜんそくに
クレソンに含まれるイソチオシアン酸アリルには、のどや気管の炎症を抑えるはたらきがあるといわれています。
さらに、気管支の筋肉をやわらげて、気道を広げるはたらきもあるといわれています。
実際に、クレソンを常食することで、ぜんそくの症状が改善したり、のどの調子がよくなるケースも多いそうです。
美容効果
クレソンには、ビタミンCが含まれています。先述のとおり、ビタミンCはお肌のハリをキープしたり、シミ・ソバカスの予防に効果的な成分です。
また、イソチオシアン酸アリルなど、強い抗酸化作用をもつ成分も多いです。細胞を酸化させる活性酸素を除去することで、アンチエイジング効果が期待できます。
[char no=”1″ char=”usa”]過剰に発生した活性酸素は、細胞をサビさせてしまいます。サビたネジが使い物にならないのと同様に、サビた細胞は本来の機能を失い、老化を進行させてしまいます。[/char] [char no=”2″ char=”kuma”]抗酸化作用のある食べ物は、細胞の老化を食い止めるはたらきをしてくれるんだね。[/char]クレソンの食べ方
クレソンの食べ方はさまざまですが、栄養を摂りたい場合は、やはりサラダなど、生で食べるのがおすすめです。
水洗いした後、葉茎の部分をちぎり、だいたい50g程度を目安にして、ドレッシングなどをかけて食べるとよいです。
ドレッシングの油分は、βカロテンの吸収率を高めてくれます。ただし、かけすぎには注意です。
クレソンの辛味が苦手な方は、バター炒めにしたり、スープにするのもおすすめです。
まとめ
今回は、クレソンの栄養と効能を中心にご紹介しました。
クレソンには、花粉症や咳・ぜんそくなどに効果的なイソチオシアン酸アリルや、各種ビタミン、食物繊維などが多く含まれています。
料理の付け合せといったイメージが強いですが、栄養面でいうと、まさに主役級の活躍が見込めます。
花粉症シーズンや、のどの調子が優れないときは、クレソンを試してみてはいかがでしょうか?