
この記事では、わかめ、昆布、海苔などの海藻に含まれる栄養と効能を、わかりやすくまとめています。
島国の日本にとって、海藻は古くから貴重な食料源でした。現在でも、海藻は食卓に並ぶ機会も多く、わたしたちの生活に根付いた食材です。
さらに近年では、海藻のもつ栄養や健康効果に注目が集まり、その魅力はさらに増しています。
今回は、海藻類のもつ、栄養や効能を中心に、ご紹介します。
もくじ
海藻の歴史
食用としての海藻の歴史は古く、なんと縄文・弥生時代の遺跡から、海藻が見つかっています。
また、日本最古の法律といわれる大宝律令(701年制定)には、租税として、ワカメやアマノリなど、8種類の海藻類が記されています。
江戸時代になると、産業の発達にともない、海藻類の生産量も増えていきます。また、各地域ごとの特産品も出てくるようになりました。
現在では、食用としてだけではなく、医薬品や化粧品など、さまざまな用途に使われています。
海藻と海草は、ちがう!
【かいそう】と聞くと、「海草」と「海藻」の2つを思い浮かべると思います。じつはこの2つ、まったくの別物なんです。
「海草」は、陸上の植物たちと同じように、種子によって繁殖します。そして、しっかりと「根・茎・葉」の区別ができます。
一方、「海藻」は、胞子によって繁殖します。そして、陸上の植物のような「根・茎・葉」の区別がありません。ワカメや昆布などは、こちらになります。
一見すると、「海草」と「海藻」、同じものだとみなしがちですが、しっかりとした違いがあるんですね。
海藻類のおもな分類
海藻類は、おおきく分けて以下の3種に分類されます。せっかくですので、簡単にご紹介したいと思います。
緑藻類(りょくそうるい)
その名の通り、鮮やかな緑色をしているのが特徴です。
アオサやアオノリの原料でもある「ヒトエグサ」などが、代表的な緑藻類です。
カリウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富です。
褐藻類(かっそうるい)
ちょっと茶色がかった緑色をしている、褐色の海藻たちが、褐藻類です。昆布やわかめ、ひじきなどが、褐藻類の代表です。
後述するアルギン酸やフコイダン、ビタミンやミネラルなどを豊富に含みます。
紅藻類(こうそうるい)
こちらも名前のとおり、ちょっと赤っぽい色をしているのが特徴の海藻です。アマノリやテングサなどが、紅藻類に含まれます。
アマノリにはビタミンAやB、Cが、テングサには食物繊維が多く含まれています。
海藻の栄養成分
それではこれより、海藻に含まれるおもな栄養成分について、ご紹介していきます。ビタミンやミネラル、食物繊維などを豊富に含んでいます。
ビタミン
海苔や昆布、わかめ、ひじきなどの海藻類には、以下のビタミンが豊富に含まれています。
βカロテン・ビタミンA
βカロテンには抗酸化作用があり、活性酸素を分解することで、生活習慣病などを予防する効果が期待できます。
また、βカロテンは体内で必要分がビタミンAとなります。ビタミンAには、免疫力を高めたり、夜盲症を予防する効果があります。
ビタミンC
ビタミンCは美容によいビタミンです。コラーゲンの生成に関与したり、メラニンを抑制したりなど、若々しいお肌を保つのに効果的です。
ビタミンK
ビタミンKは、止血のビタミンとも呼ばれており、出血を止める効果があります。また、カルシウムを骨に沈着させるのに必要な成分を活性化させ、骨の健康を維持するはたらきもあります。
カルシウム
カルシウムは、ご存知のとおり、骨や歯をじょうぶにする成分です。骨粗しょう症の予防などには欠かせません。
ほかにも、血液や細胞内に存在し、筋肉の収縮や神経伝達、ホルモン分泌などを正常に保つはたらきをしています。
海藻類には、カルシウムが豊富に含まれています。
上リンクの記事のとおり、ひじきには可食部100gあたり1000mgものカルシウムが含まれています。1度の食事で5g食べるとすると、50mgくらいでしょうか。
ちなみに、カルシウム豊富な食品の定番、「牛乳」に含まれるカルシウム量が、100gあたり110mgです。比較してみると、海藻類のカルシウムの多さがわかります。
食物繊維
海藻類は、食物繊維が多く含まれています。
とくに、昆布やわかめは、フコイダンやアルギン酸など、健康によい水溶性食物繊維が豊富なんです。
フコイダン
フコイダンとは、わかめや昆布などの海藻類に含まれる、天然のヌメリ成分です。
最近の研究により、さまざまな健康効果が期待できる成分だということが判明し、注目を集めています。
フコイダンの主な効能
- 免疫細胞を活性化させることで、からだの免疫力を高める
- アレルギー症状を和らげる
- 胃潰瘍などの原因となるピロリ菌を除菌する
- 肝細胞を再生する細胞の生産を促し、肝機能を改善する
アルギン酸
アルギン酸も、フコイダンと同じく、海藻類に含まれるヌメリ成分で、多糖類の一種です。
アルギン酸の主な効能
- 血圧を下げる
- コレステロール値を下げる
- 動脈硬化予防
- 腸内環境を整える
- 胆石を予防する
- 有害物質の除去
また、上記以外にも、食感を良くするための増粘剤や、チーズやヨーグルト、アイスクリームなどの乳化剤としての用途など、幅広く利用されています。
海藻の効能
ここでは、海藻を食べることによって得られるおもな効能について、ご紹介します。
免疫力の向上
海藻類のヌメリ成分フコイダンには、体内の免疫細胞を活性化させるはたらきがあります。このため、細菌やウイルスなどへの抵抗力が高まり、免疫力の向上が期待できます。
アレルギー症状を和らげる
フコイダンには、花粉症などのアレルギー症状を和らげる効果があるといわれています。
アレルギー症状は、免疫バランスなどの乱れが原因で、抗体(IgE抗体)が過剰につくられることで起こります。
フコイダンには、このIgE抗体が過剰につくられるのを抑えるはたらきがあるといわれています。
花粉症・アレルギー対策に、海藻類を試してみてはいかがでしょうか?
なお、こちらの記事では、花粉症に有効な食べ物をまとめていますので、合わせてご覧ください。
生活習慣病予防
フコイダンやアルギン酸などといった海藻のヌメリ成分には、以下のような生活習慣病を予防するはたらきがあります。
糖尿病予防
フコイダンやアルギン酸などの水溶性食物繊維には、糖質の吸収を緩やかにするはたらきがあり、糖尿病予防に効果的です。
高血圧予防
アルギン酸には、高血圧の原因となるナトリウムを排出するはたらきがあります。
コレステロール・中性脂肪の減少
フコイダンには、血中のコレステロールや中性脂肪を減少させるはたらきがあります。
骨をじょうぶにする
ミネラル豊富な海藻類のなかでも、カルシウムは特に多く含まれるミネラルです。子どもの成長や、大人の骨粗しょう症予防などに効果的です。
また、海藻類には、カルシウムの骨への沈着を助けるビタミンKも豊富に含まれています。
まとめ
今回は、海藻の栄養と効能を中心にご紹介してきました。
豊富なビタミンやミネラル、食物繊維などといった、からだにやさしい成分が詰まっています。しかも、低カロリーなので、ダイエット中でも比較的安心して食べられます。
「最近、海藻食べてないなぁ・・・」と感じた方は、今晩のおかずに1品、ぜひ加えてみることをおすすめします!