
春菊といえば、独特の香りと風味が特徴で、よく鍋に使われる食材です。ちょっとクセがあるため、好き嫌いが分かれる食材かもしれません。
ただ、春菊が好きな人は、間違いなく得をします。なぜなら、春菊には豊富な栄養がつまっているからです。
今回は、そんな春菊について、秘められた栄養と効能をご紹介していきます。
もくじ
春菊の歴史
春菊の原産地は地中海沿岸といわれています。ヨーロッパでは主に観賞用として扱われてきました。
その後、東アジアに伝わりましたが、ヨーロッパと異なり、東アジアでは食用として育てられました。現在でも食用としているのは中国や日本などの一部地域と言われています。
日本には、室町時代に伝わったと言われており、江戸時代の文献には栽培方法なども記載されています。歴史のある植物です。
春菊の栄養
野菜類トップクラスの含有量を誇るβカロテン、ビタミンE、ビタミンK、などのビタミン類や、同じくトップクラスのカルシウム、鉄分などのミネラル類など、豊富な栄養を含んでいます。
以下より、春菊に含まれる代表的な栄養素をご紹介していきます。
βカロテン・ビタミンA
春菊のβカロテン含有量は、野菜類トップクラスです。
◆可食部100gあたりのβカロテン含有量(ゆでたもの)
にんじん(ゆで) | 7200 µg |
ほうれん草(ゆで) | 5400 µg |
春菊(ゆで) | 5300 µg |
参考:野菜ナビ 栄養成分表 βカロテン 主要野菜 , 日本食品標準成分表
βカロテンには抗酸化作用があり、過剰な活性酸素を除去することで、さまざまな病気への予防効果が期待できます。
また、βカロテンは体内で必要な分だけビタミンAに変換されます。ビタミンAには、皮膚や粘膜の健康維持、眼のはたらきを良くするなどといったはたらきがあります。
ビタミンE
春菊のビタミンE含有量も、野菜類トップクラスです。茹でたもので、可食部100gあたり2.0mg含まれています。
ビタミンEは、βカロテンと同じく、強い抗酸化作用を持っており、細胞の酸化を防ぐことで、さまざまな病気の予防効果が期待できます。
ビタミンK
春菊のビタミンK含有量は、野菜類トップクラスです。
◆可食部100gあたりのビタミンK含有量TOP3(ゆでたもの)
春菊(ゆで) | 460 µg |
にら(ゆで) | 330 µg |
こまつな(ゆで) | 320 µg |
参考:野菜ナビ 栄養成分表 ビタミンK 主要野菜 , 日本食品標準成分表
ビタミンKは、血液を固めて止血を促したり、カルシウムの吸収を促進して丈夫な骨や歯をつくるサポートをします。
カルシウム
春菊のカルシウム含有量は、野菜類トップクラスです。
◆可食部100gあたりのカルシウム含有量(ゆでたもの)
こまつな(ゆで) | 150 mg |
しゅんぎく(ゆで) | 120 mg |
チンゲンサイ(ゆで) | 120 mg |
参考:野菜ナビ 栄養成分表 カルシウム 主要野菜 , 日本食品標準成分表
カルシウムは、骨や歯をつくる成分です。じょうぶな骨をつくるためには欠かせません。また、血液や細胞内に含まれるカルシウムイオンは、神経刺激の伝達や筋肉の収縮などに関与します。
ただし、カルシウム単体だけだと、体内への吸収率がよくありません。ビタミンDやマグネシウムを含む食材と一緒に摂ると吸収率が向上します。
春菊にはマグネシウムが多く含まれますが、ビタミンDの含有量は多くありません。このため、ビタミンDを多く含む食材と合わせて調理するのがおすすめです。
[char no=”1″ char=”usa”]ビタミンDを多く含む食材には、きのこ類や鮭、イワシなどがあります。ビタミンDは脂溶性のビタミンなので、油で調理すると成分が流出しにくいです。[/char]鉄
春菊は鉄分が豊富で、野菜類トップクラスの含有量です。鉄分は赤血球の生成に必要な成分で、体内の酸素運搬に重要な役割を果たします。
葉酸
春菊は葉酸も豊富です。葉酸はビタミンB群の一種で、赤血球の合成や、DNAなどの遺伝物質を構成している核酸の合成など、血液に関するはたらきが多いです。
食物繊維
食物繊維は、腸内環境を整え、便通の改善などに効果的です。春菊は、食物繊維を多く含んでいます。
春菊の効能
豊富に含まれるβカロテンやビタミンE、カルシウムや鉄分などに由来する効能が期待できます。
以下より、春菊の代表的な効能をご紹介していきます。
免疫力の向上
春菊にはβカロテンが豊富に含まれています。βカロテンは、わたしたちの体内で必要な分だけビタミンAに変換されます。
ビタミンAは、わたしたちの皮膚や、鼻・のど・口などの粘膜、胃や腸の粘膜を正常に保つはたらきがあります。
このため、ウイルスが侵入してきても、入り口の粘膜で撃退できる可能性が高くなり、結果として免疫力の向上につながります。
老化防止・美肌効果
シワやたるみなどの原因のひとつに、細胞の酸化が挙げられます。
わたしたちの体内には活性酸素が存在し、通常は細菌などから体を守るはたらきをしてくれています。
ところが、紫外線やストレスなどで、この活性酸素が増えすぎてしまうと、細胞を錆びさせてしまいます。
細胞が錆びてしまうと、肌のハリや弾力が失われてしまい、シワやたるみなどが起きてしまうのです。
春菊に豊富に含まれるβカロテンやビタミンEには抗酸化作用があり、細胞にダメージを与える活性酸素を除去するはたらきがあります。
このため、シワやたるみなどの予防効果が期待できます。
動脈硬化予防
動脈硬化の原因のひとつに、活性酸素による、血中コレステロールの酸化が挙げられます。
酸化したコレステロールは異物とみなされ、免疫細胞のマクロファージがこれを取り込むのですが、次第に膨張していき、やがて死滅して泡沫細胞となります。
この泡沫細胞が血管内に蓄積することで、血管壁がもろくなり、血管の弾力性も失われて、動脈硬化へとつながっていくのです。
春菊に含まれるβカロテンやビタミンEには、活性酸素を除去する抗酸化作用があります。コレステロールの酸化を防ぐことで、動脈硬化を予防する効果が期待できます。
骨を強くする
春菊にはカルシウムが豊富に含まれています。カルシウムは、骨や歯をつくる主な成分です。
しっかり摂取することで骨を強くすることができます。骨粗しょう症などの予防に効果的です。
また、春菊に豊富に含まれるビタミンKには、腸でのカルシウムの吸収を促進するはたらきがあります。
貧血予防
春菊には、鉄・葉酸が多く含まれています。
鉄は、赤血球の材料となります。赤血球は、肺で受け取った酸素を、体全体に送り届けるはたらきをします。また、葉酸は、赤血球などの細胞分裂を促すことで、赤血球を作るサポートをしています。
鉄や葉酸が不足すると、血中の赤血球量が減少し、酸素が十分に行き届かなくなるため、めまいや動悸・息切れ、疲労感など、貧血の症状が起こります。
なお、鉄は体内で吸収されにくい成分ですが、ビタミンCと一緒に摂取すると、吸収率が向上します。
調理の際は、ビタミンCが豊富な食材と合わせるのがおすすめです。
便通の改善
春菊には、食物繊維が多く含まれています。とくに、不溶性食物繊維の割合が高いです。
不溶性食物繊維には、便をやわらかくし、腸の動きを活発にするはたらきがあります。このため、便通の改善効果が期待できます。
まとめ
[char no=”1″ char=”usa”]春菊には、ビタミン・ミネラルが豊富に含まれています。βカロテンやビタミンEなどの抗酸化作用による健康効果や、豊富な鉄・葉酸による貧血予防効果など、多くの効能があります。[/char] [char no=”2″ char=”kuma”]これだけ健康によいのに・・・食用として扱ってないヨーロッパの人はもったいないね。[/char] [char no=”1″ char=”usa”]その通りですね。ただ最近は、やはり健康に良いためか、食用として料理に使う機会が増えているらしいですよ。[/char]